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アホ犬とナード ~カナダ高校留学~

パグが好きな奴はどうかしてると思う。

 

家は町が一望できる場所に立っていた。

「ここがこれからあなたが住む家よ。」

・・・広い。庭広すぎる。なんだろうか、りんごがなっている木が3本にトランポリン台、ロッジまである。
呆然と立っていた自分の足に何かがぶつかってきた。足元をみると、下を長く垂らし、「ハァッハァッハァッ」と荒い息遣いをするふやけた顔の犬が僕を見上げていた。

「パグよ。かわいいでしょ?」

いいえ、きもちわるいです。
マニアックな、きも可愛い犬が好きな人が飼う犬であり、そうじゃない自分にとっては悪印象でしかない。
しかし、気持ちわるいとストレートに言えるような人間ではない僕は

「oh it’s so cute. 名前はなんていうの?」としか言うしかなかった。

「グオンシー。中国の名前からとったのよ。」

グオンシーは僕の手荷物にガシガシとかぶりついている。・・・この犬、振り払ってぶん投げてしまいたい。

「さあ家にはいって家の中を紹介するわ。家にはシャオはまだいないけど弟のシオンならいるわ。」

ああ、あのイケメン兄弟か。日本にいる間に送られてきた写真を見ていたからわかる。楽しみだ。

家の中ではどうやら靴を脱ぐ習慣があるようだ。欧米の人らは全員家の中靴で過ごしていると思ったがそういうわけでもないのか。

家の中は木を強調とした作りで、一回と地下室の二階建て構想だ。それまで和風の家に住んでいた自分の家とは大きく異なる。
家の中を少し回っている自分にへばりついてくるブサ犬がなんとも鬱陶しい。

「人なつっこいのよ。その子。」

うん、だけど家の中までくっついてくるな。

ソファに座るとグオンシーが僕の膝に上がって顔を舐めて来た。

舐められることを否定すれば犬嫌いに思われ、引いては初日から僕の印象を下げかねない。僕の忍耐力が試されるのか。

デカイ目ん玉で僕を見据えながら何が一体美味しいのか顔に、Tシャツ腕とところどころ舐められ、甘噛み(苦)を受けた僕の体はよだれと匂いに包まれた。

「その子人懐っこいのよ。」

うん、だけど噛むな、舐めるな、息をかけるな。

・・・しかし、シオンはどこにいるのだろうか。家に新しい住居人がきたっていうのに顔を出さないのか。

「そういえばシオンは?」

「きっと自室ね。」

そういって。しまっている一室のドアをノックして彼を呼んだ。

「ショウがついたから顔を見せなさい。」

ドアが開いてでてくる。
自分に初めてできる男兄弟だ。

でてきたのは目で見てもわかる柔らかい金髪、子供のような小さな傷もない白い肌、赤いメガネの奥にある綺麗な青眼、Tシャツとジーパンに身を包んだシンプルな格好
・ ・・・見て一瞬でわかった。あぁ、Nerdだ。彼は日本でいういわゆるオタクだ。子供っぽいざん切り頭に、ぷっくりと膨らんだ頰は家からでたことのないような白い肌。赤いメガネの奥にある広い二重の半目は性格のいやらしさを表している。ヘンテコなTシャツに隠されていてもわかるぽっちゃり腹。

写真でみていたイケメンな弟の面影は薄くしか残ってはいない。
Photoshopで加工でもして送ってきたのだろうか。

「hi, nice to meet you. グオンシーおいで」

軽い言葉をいってすぐに腰をかがめて僕の足元にいるアホヅラ犬を呼び寄せて、撫で始めた。
・ ・・・なんだこいつ。

「ショウといいます。これからよろしく。」

彼は頷いてから撫でていたグオンシーを離し、

「じゃあまた後で」

自室に戻っていった。

え?まじで?それだけ?あって最初はさすがにある程度世間話とか、家や町の案内とかしてくれたりするものじゃないのか?
イレインもそれがなんもおかしいとは思わないようですぐに家の説明を始めた。

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